証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

血塗れの笑顔をくれる彼女

 

少し青錆の浮いた金属製ドアノブに触れると

 

物理的な冷たさだけで無く

 

それ以外の何かも感じ……

 

背筋が冷えた…………

 

 

L字型のバーを下げ

 

重い鉄の扉に力をかける………

 

コンクリート打ちっぱなしの無機質な室内は

 

陰鬱な空気と

 

血の匂いで充満して居た…………

 

 

彼女は私に気付くと

 

二本の指を立て

 

 

一呼吸おいてから

 

「2分だけ待って……」

 

そう言って

 

焦点の定まらないような

 

どこか混沌とした目付きで……

 

私と目は合わせずに

 

曖昧な笑みを浮かべた………

 

 

彼女の傍には

 

スタイルの良い女が居た………

 

私はその女がどうなるのか

 

事前に知らされて居たので顔を見ることが出来ず

 

赤黒い飛沫でシミだらけのコンクリート壁に

 

目を逸らした………

 

彼女が鞘から刀を抜く音と

 

無駄な力を抜く為に息を吐く音

 

ふたつの

 

シュッ

 

が重なって聞こえた直後

 

コンクリート壁と床に………

 

シミが……増えた…………

 

 

確か西洋絵画では

 

長剣は正義のアトリビュートだと聞いたことが在る……

 

しかし今この部屋の中に

 

正義が在るなどと

 

 

誰も思って居ないことは明白だった………

 

 

女の血で真っ赤に染まった自分の手や軀に

 

 

全く気付いて居ないかのような雰囲気で

 

 

私に血塗れの笑顔を向けてくれる彼女を見て

 

 

姉のことが……

 

あの日のことが…………

 

姉の…あの日の笑顔が……………

 

フラッシュバックして………

 

 

私の目から急に………

 

 

涙が流れ出すのを感じた………………

 

 

              TO BE COMUGIKO