~ 追憶 バーテンダー ~
ふたりとも泥だらけだったので……
とりあえず女のアパートへ行くことになった…………………
シャワールームに押し込まれて
熱いシャワーをかけられた…………………
私の頭を洗う女の手つきは
随分と手慣れたものだった…………………
きっとこの女は
犬を飼って居たことが在るに違いない
と…
そう思って居たら…
女がくちを開く…………………
「昔シェパード飼ってたんだ………
なんとなく………
キミと似てたよ……………………」
時々感じて居た違和感が…
気のせいなどではなく………
確信に変わりつつ在った……………………………
試しに心の中で……
『僕の心が読めるの?』
と…
そう言ってみたが……
女は無言でシャンプーの泡を洗い流して…
私に抱きついて…
口付けしてから………
またいつものように死体になった…………………………
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ベッドで横になるのは久し振りだった……………
隣に居る女の体温が心地良かった………………
しかし……
いつも母親のせいで夜眠ることが出来ず……
もっぱら睡眠は…
美術の授業中となって居た為……
せっかくのベッドだというのに全然眠たくならない………………………………
私は女の寝顔を見ようと思い……
そっと顔を横に向ける……………………
月明かりに照らされた女の顔……………………
その目はぱっちりと開いて居た……………………………
無言の女……
「眠れないの?」
私が尋ねると…
女は…………
「ザー ザー ザー ザー」
1~2分ほど…………
私は黙って聞いて居た………………………
…………………………
「眠ろうとするとこの音が聞こえてくるから………
五月蠅くて………
眠れないの………………………………」
女が口付けしてきた…………………
よっぽど気に入ったみたいだな……………
そう思ったら………
女は…
唇を触れさせたまま……
「ハマっちゃったみたい」
と…
そう言って………
そのまま上に乗っかってきた……………………………
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だんだんと日が昇って来て………
明るくなった……………………
学校へ行く時間が近付いてきたので……
ふたりでシャワーを浴びた………………………
口付けしながら女が言う…………
「キミって凄いよね………」
まだ子供だった私には
その意味を完璧には理解することが出来なかったが………………
きっと色々な意味が含まれて居るんだろうな………………
と……
そう思った…………………………………
女は
「そうだよ」
と言って…………
また口付けしてきた……………………………………………………
TO BE COMUGIKO
「バーテンダーさん………………
わたし……………
正直に言いますね…………………………
ピッツァの具に…………………………
この程度の白米を混入したところで…………………………
棕櫚さんの食欲の前では………………………………………
風前の灯火にもなりません……………………………………」
「やっぱりそうだよね…………………」