証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

夜の森に在るBARで №5

~ 追憶 バーテンダー ~



「今日はサボれば?」

 

 

私が言うと

 

 

返事はしなかったが彼女は

 

翌朝私がコンビニへ出勤するまで

 

ずっと傍に居た……

 

 

 

アパートを出るとき

 

前日手に入れた特殊警棒を

 

彼女が興味深げに見て居たので

 

彼女の手に握らせて

 

「これを必要として居るひとに

 プレゼントしてあげるといい」

 

 

そう言って

 

私はコンビニへ歩き出した……

 

何となく

 

彼女とは暫く逢えなくなるような予感がしたが

 

それはそれで構わないと思い

 

一度も振り返らずにコンビニまでの道を歩いた…………

 

 

コンビニに着くと

 

オーナーの娘に告白された……

 

今更…

 

ということと

 

こんな早朝に…

 

ということ

 

そのどちらか

 

或いは

 

その両方に突っ込みを入れたくなったが……

 

とりあえずいつものように

 

監視カメラの無いスタッフルームに連れていって

 

いつもと同じ

 

ことをした……

 

 

さっきアパートで

 

 

あの女の首に触れて居たにも関わらず

 

力を入れなかった反動だろう………

 

オーナーの娘の首を絞める力が

 

いつもより強かったらしく……

 

彼女が

 

呼吸して居ないことに気付いた………

 

商品在庫のストックルームから

 

乱れた呼吸音が聞こえた……

 

彼女の姉が

 

いつもそこに隠れて覗いて居たことは

 

ずっと前から知って居たが……

 

面白いのでうっちゃって居たのが仇になった………

 

 



 

血の付いたペティナイフを見ながら長い息を吐いて

 

アパートを出るときに

 

なんとなく感じた予感は

 

これだったのか………

 

 

そう思って居た………………………

 

        TO BE COMUGIKO

 

本当はアパートに連れ帰りたいんだけど…今日はちょっと無理なんだ………



揚げ物の順番はとても大切だよ☆

~ BARで 鯖戸 ~

 

 

 

「ねえ……バーテンダー…………

 なんか私……

 今夜は揚げ物食べたい気分…………

 でも……

 やっぱ無理だよねえ…………」

 


「安心して下さい

 今夜はちょっと

 本気出しますから」

 

 

「マジ?」

 

 

「マジ」

 

 

 ゴールデンウィークの最終美

 

 

それを飾るのは

 

 

やはり

 

 

揚げ物に

 

 

違いない……

 

 

この女のお腹を満たす為には量もそこそこ必要だから

 

 

今日は早朝から

 

 

色々収穫しておいた……

 

 

「ねえバーテンダー

 このぬか漬最高♡」

 

 

「おくちに合って何よりです

 ちょっと申し訳無いんですが

 今からかなり

 危険な作業に入るので

 暫く

 手酌でお願いして良いですか?」

 

 

「全然OK

 美味しいのお願いね♡」

 

 

「OK」

 

 

揚げ物には

 

 

常に危険が

 

 

付き纏う……

 

 

しかしそれでも

 

 

揚げ物なんて止めようなどと

 

 

そんなことを言うヤツは居ない……

 

 

「うわ~

 ヤバ……

 サックサク♡」

 

 

「おくちの中

 切らないように気をつけてね

 ずっと手酌じゃ悪いから

 シンプルだけど

 これ

 オレンジブロッサム」

 

 

「え~~

 いいのに……

 揚げながらカクテルつくるのなんて

 危ないよ……

 でもありがと……

 凄く美味しい………」

 

 

さっきから尋常で無い量を揚げて居るはずなのに……

 

 

どんどん女のおくちに吸い込まれていくから

 

 

揚げ後一時置き場のかき揚げは

 

 

全然増えず………

 

 

「ねえバーテンダー……

 このオールドファッション激旨♡」

 

 

揚げ物をつくる時

 

 

順番には

 

 

本気で気を使う……

 

 

本当は

 

 

ベジファーストの観点から……

 

 

「あ…

 棕櫚さん

 揚げたお芋さんには

 お塩つけてたべてね」

 

 

「OK~♪

 旨♡」

 

 

ベジファーストの観点から……

 

本当は

 

 

糖質系は

 

 

最後に揚げたいが……

 

 

それは出来ない……

 

 

もしも

 

 

肉系から先に揚げたとしたら

 

 

肉風味のドーナツや

 

 

肉風味のフライドポテトが

 

 

出来揚がってしまうからだ…………

 

 

「棕櫚さんゴメンね

 順番逆になっちゃって」

 

 

「わたしそんなの全然気にしないよ?

 美味しいほーが良いじゃん♡」

 

 

「唐揚げ

 どんどん食べてって良いからね

 揚げ物は

 揚げたてが

 一番美味しいんだから」

 

 

 「ありがとう♡

 なんか

 わたし……

 今夜はずっと

 つまみ食いしてるみたい……

 それにしても……

 ホント揚げたてに勝る物無しだね♪♡」

 

 

「ふう……

 やっと全部揚げ終わったよ

 つまみ食いばっかさせてゴメンね

 今からはちゃんとカクテルもつくるし

 ご飯もよそってあげるよ」

 

 

「ありがと♡

 それじゃあとりあえず

 玄米ご飯特盛りで

 さっきのオレンジブロッサムが

 超美味しかったから

 もう一杯お願い♡」

 

 

「OK」

 

 

この女

 

ホントよくたべるなぁ……

 

全然酔わないし……

 

 

              TO BE COMUGIKO

 

 

         いつも揚げ物の後はすぐにコンロを磨き上げます☆  

 

       

野草の美味しい食べ方☆

~ BARで 鯖戸 ~

 

 

 

「ねえバーテンダー……」

 

 

「はい?」

 

 

「これって……

 何?」

 

 

「ああ…

 それは野蒜といって

 野草の一種です

 今回は舞茸と合わせて調理しました

 因みに野蒜は

 このお店の周りに

 うんざりするくらい自生して居りますよ」

 

 

「雑草?……」

 

 

「間違いでは在りませんが

 野草と呼んだほうがイケてますよ

 雑草食べてるって言うと

 貧困感がハンパ無いですが

 野草食べてるって言うと

 ちょっとオサレかもって思う方々も居らっしゃいますからね」

 

 

「野蒜の調理って難しい?」

 

 

「簡単ですよ

 先ずは収穫してキレイに洗浄してから

 千切ってお鍋に投入します

 次に少量のお水かお酒

 或いはその両方を投入し

 適量の醤油で味付けして火を通してから

 最終的に水分を飛ばせば出来上がり

 今回は舞茸を合わせました

 野蒜と舞茸の風味を活かす為

 醤油は控えめにして

 その分粗塩で調整して在ります

 純米燗のアテに最高ですよ

 因みにですが

 野蒜はキノコ全般と相性が良いので

 舞茸だけで無く

 他のキノコを用いても

 美味しいアテになりますよ」

 

 

「ねえバーテンダー

 これ気に入ったよ

 純米無限に呑めちゃう感じ?

 また今度

 違う種類のキノコで殺ったやつも

 食べさせてくれる?」

 

 

「OK

 次はエリンギかブナシメジで

 サーヴィスさせていただきますね」

 

 

今回は跳ねないように

 

しっかりと水分を飛ばしたつもりだったが……

 

この女には………

 

やはり通用しなかったか………………

 

べつに……良いけどね………………

 

拭くだけだし…………

 

 

             TO BE COMUGIKO

 

野蒜の食感やお味ってちょっとラッキョウに似てるね♡

 

今日のAIV○

 

竹輪と大根乗せたんだったら絶対卵もでしょ♡

 

言いかたに気を付けて・・・

~ BARで 鯖戸 ~

 

 

 

「ねえ棕櫚さん……」

 

 

「えっ?!

 そっちから来るパターンって在るの?!……

 な……何?…………」

 

 

「おっきいキャベツって

 見たこと在る?」

 

 

「なんだ……

 そんなことか……

 うん…

 かなりおっきいの

 見たこと在るよ

 直径30㎝超えの特大……」

 

 

「コレ見てよ」


 

「ごめん……

 私おっきいキャベツ

 初めて見ました」

 

 

「今夜のメイン食材はキャベツです」

 

 

「勘弁してください」

 

 

「無理です」

 

 

「…………」

 

 

「安心して

 ちゃんと美味しくするから」

 

 

「絶対だよ?……」

 

 

「勿論

 あ……

 ごめん……

 ちょっと手伝って」

 

 

「何したら良い?」

 


「キャベ葉芯を

 ぬか床へぶっ込んで欲しい」

 

「OK

 これで良い?」

 

 

「う……

 うん…………」

 

 

「他にも何か

 手伝おーか?」

 

 

「いや……

 ありがとう……

 もう

 大丈夫だから座ってて………」

 

 

前から思ってたけど……

 

 

この女……

 

 

ヤバイくらい

 

 

不器用だな……

 

 

「サラダ出来たから食べてて」

 

 

「サンキュ」

 

 

「後で

 軀

 拭いてあげるね……」

 

 

「え?」

 

 

「だいぶ糠が跳ねてるよ」

 

 

「まさか~」

 

 

「………………」

 

いや……

 

気付け………

 

 

今回もブレーンスタイルでいこう……


 

半分は和風

 

 

もう半分はナポリ……

 

 

逢わせるカクテルはややドライなGINベースで酸味は中程度……

 

 

「どうぞ

 脳漿麺です」

 

 

「頼む……

 意味は同じでも

 いつもみたいに

 ブレーンパスタって言ってほしい………」

 

 

「ごはんも食べるでしょ?」

 

 

「食べる♡

 ……ん?

 おい……

 私の発言はスルーか?……」

 

 

「どうぞ

 Bonito flakes riceです」

 

 

おかかご飯は

 全くキモイネーミングじゃ無いから

 無理して横文字にしなくていい……

 てゆーかこの脳漿麺

 超絶旨い♡

 Bonito flakesとの相性も抜群♡♡」

 

 

普通に受け入れてんじゃねーか……

 

てゆーか今度はケチャップ飛ばし過ぎ……

 

また拭いてあげないと……

 

ホント手間のかかる女…………

 

 

「今夜のTはTOMATOのTだね!!

 うん♡

 間違いない♡♡」

 

 

間違ってますよ?……

 

普通にTAMAGOの黄身ですよ?……

 

 

私もいっぷくしよう……

 

 

「あ……

 私もアイスとビール欲しい!!」

 

 

やっぱりね……

 

言うと思ったよ

 

でも

 

今夜は大丈夫……

 

スケープゴートを用意しといたからね……

 

 

「棕櫚さん

 チョコレート・ファッヂつくっといたよ

 アイスより

 こっちのほーが良いだろ?」

 

 

「わあ♡

 嬉しい♡♡

 でも

 アイスもよこせ」

 

 

ジーザス……

 

 

              TO BE COMUGIKO

 

 

ビールとアイスは別腹だよ? by鯖戸

もの凄く美味しいパンの秘密?!

~ BARで 鯖戸 ~

 

 

 

私はアーモンドのお花が好きだ……

 

可愛らしさと可憐さ……

 

その両方を持ち合わせながらも

 

その花期は意外と長い……

 

 

けれど……

 

さすがに今期はもう終わりかな……

 

始めの頃は若々しい濃いピンク色だった花びらも

 

 

随分白くなって来た……

 

 

アーモンドは毎年

 

そうやって終わって行くんだ…………

 

 

「へ~

 そうなんだ……

 バーテンダー

 お花好きだなんて

 なんか意外………」

 


「そうかな?」

 

「そうだよ」

 

 

「はいどうぞ

 サラダとアペリティフ出来たよ」

 

 

「ありがと…

    

 ローズマリーの青紫も

 随分と鮮やかになったよね……」

 

 

「うん……

 今が一年の中で

 一番鮮やかで

 キレイな時期だよ」

 

 

「ねえバーテンダー……

 今夜は何食べさせてくれるの?」

 

 

「今夜はピッツァに

 塩糀で発酵させたキャベツを使おうと思うんだ

 醤油かすとチーズと逢わせた

 発酵三姉妹に

 間違いなんて起こるはずが無いだろう?」

 

 

「三兄弟じゃ無くて……

 三姉妹……

 そうなると途端に背徳的で

 間違いが起こらないほうがおかしいって思うのは

 私だけじゃ無いと思うけれど……

 でも

 このピッツァが間違いないっていうことに関しては……

 確かに…

 疑いの余地なんて……

 塵程も無いけどね……

 あっ……

 …………

 旨ぁ………………

 ………… 

 ビールもさ……

 泡がすぐ消えちゃうのは

 ちょっと寂しいけれど………

 ドッグズノーズだっけ?

 最高だね♡」


 

「棕櫚さん用には

 かなりGIN率高めのブレンドだよ……

 こっちにおいで」

 

 

「あっ……

 ………………

 ねえバーテンダー……

 TKGの時って……

 何でいつもカウンターからテーブル席に移動させられるの?」

 

 

「特に意味は無い」

 

 

ジーザス……

 てゆーか…

 よく見たらこれ……

 トリプルT(Theos)じゃん…………

※トルプルT:TAMAGO・TIKIN・TOMATO

 TはTheos即ちこの場合のTは神の略字

 ヤバ…………

 感動と美味しさで涙が止まんない…………

 私今夜もう……

 ずっと泣いてるかも…………」

 

 

「パンも焼きたてだけど食べる?」

 

 

「当たり前じゃん!!」

 

 

余裕で泣き止んでんじゃん……

 

 

「ねえねえバーテンダー……

 そのアイスも私にくれるんだよねえ」

 

 

「えっっ……

 あ……

 う…ん…………」

 

 

しまった……

これ……

ラストなのに…………

 

 

「美味しい♡」

 

 

「良かった…です…………」

 

 

「ねえねえバーテンダー

 この食パンも自家製なんだよね?

 いつもホント美味しくてさぁ♡」

 

 

グラスフェッドバターとの相性抜群だろ?」

 

 

「うん♡

 最高♡

 

「こんなに美味しい食パンって

 他じゃ絶対に食べられないよ……

 きっと

 つくるの超難しいんだろうなぁ……」

 

 

「うん……

 まあね……

 長年の修行と

 経験に

 裏打ちされた技術っていうか……

 あとは

 余計な物は入れないっていう誠実さ……

 言うなればこのパンは

 私の魂がつくりあげて居る……

 そう言っても

 過言では無いからね…………」

 

バーテンダーって

 やっぱ凄いんだね♡」

 

 

              TO BE COMUGIKO

 

 

今日のAIV○

竹輪だけで無く大根も積めば
もう誰も
おでんはご飯のおかずにならないなどという戯れ言に
耳を傾けなくなるんじゃないかと思って居る

 

夜の森に在るBARで №4

~ BARで 東雲坂田鮫~

 

 

懐かしい香りと息苦しさがとても心地良かったので

 

暫く目を閉じて居た………

 

 

ふと

 

息苦しさが無くなったので

 

目を開けてみると……

 

 

目の前に

 

一粒の胡桃が在った……

 

 

「店の裏に胡桃の木が在るんです」

 

 

そう言って

 

私に近付いてくるバーテンダー………

 

 

好きな味だった……

 

柔らかなくちあたりと

 

舌に吸い付く感じが……

 

過去の記憶を呼び起こす…………

 

 

ただ…

 

いつ……

 

何処で……………

 

そこまでは思い出すことが出来ない…………

 

でも……

 

 

このバーテンダーの目には

 

 

見覚えが在る…………

 

 

この目を見て居ると……

 

私は

 

何もしなくても良いのだと思う…………

 

唯々軀の力を抜き……

 

楽にして居れば良い…………

 

 

そうしたい……

 

そして…………

 


そうしなければならないのだとも思う………………

 

 

そうしたいとそうしなければならないが

 

同一だったとき……

 

そこには一塵の苦痛も無く……

 

それは唯々楽な環境下で

 

辺り一面の多幸感が

 

 

私の全てを包み込んで行く………………

 

 

断片的にひとつ……

 

またひとつと…………

 

私は何かを

 

思い出して居た…………………………

 

 

              TO BE COMUGIKO

鬼胡桃って…素手で割れます?

 

夜の森に在るBARで №3

~ 追憶  バーテンダー ~

 

 

彼女と初めて出会ったのは

 

その時よりも

 

もっと前だった……

 

 

彼女を一目見て気に入った私は

 

森の中に捨てられて居た車の中で

 

長い時間を

 

一緒に過ごして居た………

 

その時の彼女も

 

何の抵抗も示さず

 

唯々従順だった………

 

何度かそういうことが在って…

 

その後暫く彼女を見かけなくなったが……

 

それから何年か経ったある日

 

私がバイトして居た早朝のコンビニに

 

パンを買いに来た……

 

 

彼女は随分と生長して居た……

 

服を着て居なかったので

 

すぐに彼女だと解ったが

 

もしも服を着て居たとしても

 

遠くからでも解る

 

彼女の美しい淡い水色の左目を

 

 

私が忘れるはずなど無かった………

 

それから彼女は

 

頻繁に来店するようになった……

 

私は彼女を悲しい気持ちにさせたくなかったので

 

いつも彼女が手に取る銘柄の食パンを

 

必ず一斤キープしておくようになった……

 

食パンの代金を受け取るときは

 

毎回彼女のくちを塞いだ………

 

彼女はたぶん…

 

気付いて居なかったと思う……

 

その行為が

 

彼女の淡い水色を

 

くりぬいて仕舞いたいという衝動を抑える為の

 

代替行為で在ったということを………

 

 

警察官になりすまして連続暴行を働いて居たひとの首を

 

スコップでふたつに切り分けようとしたが

 

そのひとの首では無く

 

彼女の淡い水色を見ながらだった為

 

まだ皮一枚繋がって居た……

 

その日彼女は私のアパートに来た……

 

私のアパートには

 

私の恋人達が何人か居たが

 

彼女に気にする様子は

 

特に無かった……

 

 

私は

 

彼女の淡い水色を守る為

 

ずっと彼女のくちを塞いで居なければならなかった……

 

彼女はとても従順だった…

 

何も喋らず……

 

唯々私を見て居るか…

 

 

目を閉じて居るかのどちらかで……

 

初めて出会ったあの日から

 

何も変わって居なかった……

 

だから私は

 

彼女の首に触れて居る指に

 

力を入れる必要が無かった……

 

彼女は

 

死体よりも………

 

従順だった………………

 

 

              TO BE COMUGIKO