~ 追憶 酒森 ~
次に目が覚めたときは
蓋の隙間から
光が見えた……
どうやら夜では無いらしい………
相変わらずここから出ることは
出来そうに無いが…
少しでも光が見えるというこの状況は
何も見えない暗闇に比べれば
随分とましだった………
あれからどれだけの時間が経ったのだろう…………
私は喉の渇きも空腹も
もう感じてはおらず……
何かを考える
ということ自体出来なくなっていた…………
少し前まで頭の中を支配していた死に対する恐怖すらも……………
もう……
何も…………
私はこの時
横隔膜の浅い動きだけを
かろうじて感じていた…………
遠くの方で
かー君の鳴く声が聞こえた気がした…………
かー君は家で飼っている犬の名前で
私に一番懐いていた…………
TO BE COMUGIKO