証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

送迎の人がくれたもの №8

~ 追憶 津葦キリコ ~

 

 

お片付けの仕事は

 

どうやら私に合って居るらしい……

 

 

上の期待に応えられなかったのは

 

女に自殺されたあの一回だけで

 

それ以降は

 

上からの要求以上に成果を上げ続け

 

今はかなり重要なお片付けも任されるようになった………

 

 

お金の面ではもうスプリング販売の必要は無い……

 

けれど私は…

 

今週三くらいで

 

その仕事も入れて居る……

 

その仕事で……

 

と言ったほうが良いか……

 

私には

 

送迎の人と逢うための口実が必要だった………

 

 

スプリング販売の日は

 

いつも早めに待ち合わせして

 

そういう感じになる……

 

お客さんを

 

絶対に待たせてはいけないという

 

プロ意識が建前だ……

 

いつもそういう感じなので

 

お客さんの前に出るときは

 

当然ながら

 

そういう感じ………

 

 

なって居るのだけれど……

 

仕事の前は

 

基本的にシャワーを浴びるので問題は無い……

 

偶にシャワーを浴びさせてくれないお客さんも居るが……

 

「どういうこと?」

 

と問われれば

 

「そういうこと……」

 

と言って

 

曖昧に目を見る……

 

 

そういう……

 

という言葉はとても便利で

 

例えば…

 

同じでは無いけれど

 

「ごっつぁんです」

 

に似て居るかもしれない……

 

万能な言葉?……

 

嘘をついて居る訳では無いのに

 

特にリピーターのお客さんなどは

 

結果的に喜び

 

色々な手間も省け

 

チップも多めに貰えたり……

 

正直

 

良いことしか無いと

 

認識して居る……

 

 

送迎の人の様子がおかしいことに気が付いたのは最近だった………

 

というのは嘘だ……

 

そういうことを

 

直球でくちにするのは

 

なんとなく気が引けて……

 

いつも

 

自分で気付いてくれないかと………

 

そんな空気を出してはみるのだけれど…………

 

例えば……

 

「凄い汗だね」

 

とか…………

 

でも……

 

「最近暑いからね」

 

とか言って……

 

誤魔化される………

 

「こないだ逢ったときも……

 袖のボタンとれてなかった?……」

 

とか……

 

「なんか最近……

 声高くない?……」

 

とか………………

 

でも

 

何を言っても

 

結局いつも全部てきとうに誤魔化される…………

 

 

そんなある日

 

上司から渡されたリストには……

 

送迎の人が載って居た…………

 

 

想定して居たことなので

 

驚きはゼロ……

 

むしろ遅かったな

 

という印象…………

 

それでも私の心は……

 

一気に…土の中…………

 

といった感じだった…………

 

いつもは何も言わない上司が

 

今回に限って一言添えた……

 

「売りもんに手ぇ付けすぎたんだよ」

 

もっと早い段階で私が

 

直球で

 

「シャブ止めろ」

 

って言ってたとしたら……

 

今の

 

この状況は回避出来て居たのだろうか…………

 

 

それとも

 

売りもんには私も含まれて居るだろうし

 

会社が気付いて居ない訳も無いので

 

結局はこうなって居たのだろうか…………

 

人間とは無駄なことを考える生き物で在る…………

 

私が今夜

 

送迎の人を殺害するという未来は

 

既に確定して居るというのに…………………………

 

 

              TO BE COMUGIKO