～ BARで 鯖戸 ～
｢ねえ……
バーテンダー………｣
｢はい？｣
｢このビール……
美味しいね………｣
｢良いエールでしょ……
棕櫚さんのおくちに合うだろうと思って居ました………
…………………
なにか…………
在りましたか？……………｣
｢この胡桃って……
鬼胡桃でしょ？……
どうしたの？………｣
｢ああ……
このBARの裏に木が在って
さっき収穫して来たんです………｣
｢思い出すの……
木の実を見ると………｣
｢？｣
｢私ね……
木の実が大好きでね……
鬼胡桃もそうだけど
どんぐりとかも
よく拾いにいくの……｣
｢はい……｣
｢部屋のテーブルに置いてたらね……
今朝全部盗られちゃって……｣
｢犯人に心当たりは？……｣
｢間違い無く
フクロモモンガ……
私のどんぐり……
全部……
持ってっちゃった………｣
｢あの……
よかったらこれ………｣
｢えっ？！
どうして？………｣
｢実は私もどんぐり大好きで……
そこのボトルに入って居るのも
よかったら半分………｣
｢バーテンダー………｣
｢はい？｣
｢嬉しい……
ありがとう………｣
｢いえ……
喜んでいただけて
私も嬉しいです
IPAのお味ははいかがでしたか？｣
｢凄いフルボディーだね…
ライスフレーバーと甘味…
柑橘ピールニュアンスのしっかりした苦味……
魚醤のようなニュアンスで
出汁が効いた感じ？
酸味も心地良いわ……
おかわり在る？……｣
｢元気になられたようで
安心しました｣
TO BE COMUGIKO
