証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

送迎のひとがくれたもの №4

~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~

 

 

「見逃して欲しい……

 って…

 言っても……

 無理…だよね?………」

 

と彼女が言うので

 

私は黙って頷いた……

 

 

「苦しまないように…

 殺してくれる?………」

 

 

問われたが………

 

私は

 

指定の拷問を行って居る模様を

 

撮影して来るよう上司から命じられて居たので

 

無理だと答えた……

 

 

「そっか………

 ごめんね…………」

 

そう言った彼女は

 

自分の懐から出した小さな拳銃を咥えながら

 

私の目を見て居た…

 

私も彼女の目を見て居た………

 

動けなかった

 

私には唯見て居るだけしか……

 

それだけしか

 

出来なかった…………

 

彼女がゆっくりと撃鉄を起こし

 

私の目を見ながら

 

人差し指に

 

力を込めた…

 

パンッという乾いた音の後

 

彼女の後ろにあった鈍色の壁が

 

鮮やかな赤色に染まった…………

 

 

彼女の視線が

 

私の目から離れた後も

 

私は彼女から視線を離すことが出来なかった…………

 

 

実は今日

 

彼女を見つけたらすぐに

 

 

足を撃ち抜いてから

 

撮影を開始するつもりだった………

 

でも何故か

 

引き金を引く指に力を込めることが出来ず……

 

私は仕方無しに…

 

彼女に声をかけて居た………

 

 

私は小さな拳銃の引き金に絡んだ

 

彼女の細長い人差し指を見て居た………

 

意思を持った彼女の人差し指が…

 

彼女を……

 

彼女を助けてあげたのだと思った…………

 

そしてそれは…

 

結果的に彼女だけでなく…

 

私も助けてくれたのだということに…

 

私は……

 

気付いて居た………………

 

 

思い出の中に在る彼女の笑顔…

 

私に触れた

 

彼女の細長い指……

 

最期に「ごめんね」と言った

 

柔らかかった彼女のくちびる………

 

今私が見て居る

 

拳銃の引き金に絡んだ彼女の細長い人差し指から視線を離すのに

 

かなりの時間が……

 

必要だった………………

 

 

その時から私は……

 

私の人差し指にも

 

私とは別の人格が在り

 

私の意思とは無関係に仕事をこなして居るのだと……

 

そう

 

思うことにした……………

 

 

              TO BE COMUGIKO

 

 

 

はぁ?今更何言ってんの?そんの私じゃなくて私の人差し指に訊いてみれば?