証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

送迎の人がくれたもの №7.5 番外編

~ ホテルで フロントのひと ~

 

 

いつも一回目は

 

ドキッとする………

 

いい加減慣れろよと

 

毎回自分にツッコむのだが……

 

全然慣れない……

 

少しの間を空けて

 

今度は立て続けに三回……

 

今夜は全て命中したらしい…………

 

 

私は受話器の上に

 

手を置いた……

 

このホテルのマニュアルでは

 

2コールで受話器を上げることになって居るが

 

電話の相手が解って居る場合

 

その相手の性格に添った

 

臨機応変な対応が必要だと

 

私は心得る……

 

電話が音を発するか発しないかというその瞬間

 

私は受話器を持ち上げた…

 

「はい フロントです」

 

通常より声を張ってそう言うと

 

電話をかけてきた女は

 

「わたし」

 

とだけ言った…

 

「すぐに伺います」

 

 

また声を張ったあと

 

掃除用具入れから

 

女から預かって居るものを取り出し

 

階段を駆け上がった……

 

 

女はいつも

 

部屋の扉を少しだけ開けて待って居る…

 

 

私は頭を下げ

 

「どうぞ」

 

と言ってそれを渡した……

 

それからいつも通りチップを受け取ったが

 

厚みがいつもと違う……

 

「いつもより少し時間かかりそうなんだけどダメかな?」

 

 

と女が言うので

 

「いいですよ」

 

 

また声を張った……

 

女とやりとりして居る間中

 

部屋の奥から助けを呼ぶ声が聞こえて居たが

 

勿論今夜も無視して居た……

 

女は特に気にして居ない様子だったが……

 

 

いくら4回の銃声で耳を殺られて居るとはいえ

 

あれだけ大きな声で叫んで居るのに

 

聞こえて居ないはずは無かった………

 

 

頭を下げてフロントへ戻ろうとすると

 

女の細い腕が

 

するりと私の首に絡みついた……

 

女の唇が耳に触れて

 

「いつも現金だけじゃ飽きるよねぇ?」

 

と言う言葉が

 

私の鼓膜を揺らした……………

 

 

血塗れで床に寝て居る人間から

 

あれほどまでに人格を否定されたのは初めてのことだったが…

 

女の声のほうが大きかったので

 

さほど気にはならなかった………

 

 

血と硝煙と女の匂いが

 

ずっと軀から離れない夜だった…………

 

         TO BE COMUGIKO

 

いつもフロントに斧を預けて居ます♡