証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

夜の森 後編

~ 夜の森で 東雲坂田鮫 ~

 

 

何も考えず……

 

或いは

 

何も考えられず…………

 

私は唯

 

そこに居た…………

 

月光と夜の森に……

 

唯々身を委ねるだけだった…………

 

 

その状況に変化が生じたのは

 

風に乗って流れてきた黒い雲が

 

月光を拭い去った時だった………

 

さっきまで月光と

 

夜の森の奴隷だった私の心が自由になり

 

今度は軀が縛られて居る

 

ということに気付く…………

 

 

だがこの縛りは

 

いつもの包帯とは違う

 

なにか……

 

別の要因によるものらしかった………

 

私はゆっくりと軀を起こしたが…

 

まだ座って居る状態にもかかわらず……

 

なんだかクラクラして

 

何かがいつもと違うな……と………

 

そう…感じた………………

 

 

ふらつく軀で

 

バランスをとりながら……

 

なんとか立ち上がった私は…

 

 

何歩か歩いただけで

 

もう座りたくなってしまった………

 

また月光が地表を刺した……

 

あたりの植物が

 

妖艶な輝きを発する……

 

ゆるやかに流れる小川と相まって

 

死の迫るのも知らぬげに………

 

 

ハムレットの一文を思い出した…………

 

不意に……

 

入水したくなる衝動に駆られる…………

 

ジョン・エヴァレット・ミレーの

 

オフィーリアを………

 

思い出して居た…………

 

水面までの距離4メートル……

 

2メートル……

 

…………

 

到着……

 

入水の直前に

 

また黒い雲が

 

全てを拭い去った………

 

……はずだった……

 

少し先に

 

灯りが見える………

 

入水の気持ちは

 

月光同様

 

夜の森色で塗りつぶされた後だった……

 

私は灯りの方向へ歩き出す……

 

 

私は大きな扉に手を添える……

 

私はその扉を引く為に……

 

指と腕に……

 

力をいれた………………

 

         TO BE COMUGIKO