~ 解体室で ~
室内の状況を
視覚から得た情報だけを頼りにして説明すると
こうなる………
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血塗れで泣いて居る女の子が居て
しかも
その女の子は
全裸で在る………
傍にはもう一人の人間が居て
その人間は
さきほど女の子に何かを投げつけた………
その人間も
血塗れで
全裸…
その上全身に刺青が入って居り
どうやら女の子に投げつけたのは
えぐり出したばかりの臓器らしかった…………
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この説明から二人の関係性を考えると
恐らく多くの方々が
被害者(女の子)
と
加害者(もう一人の人間)
と
そう
思うはずで在る………………(注1)
注1:ある種のプレーヤー等
特殊な趣味嗜好に関しては
話がややこしくなるので今回は考えないものとする
しかし
ここに聴覚から得た情報を加えてみる……
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「ねえ藤子ぉ
マグハツたべる?」
「え?!
良いんですか?!」
「良いよ~
ちょっと待ってな
今えぐり出して
そっちに持ってって殺るから」
「あ……
いいですよ…そんな………
申し訳無いので投げてください……」
「え?
ちゃんとキャッチ出来る?……」
「大丈夫です……
お願いします……」
「行くよー?」
「はい…」
「お…
ナイスキャッチ」
「棕櫚さん……」
「ん?」
「美味しいです……
美味し過ぎて
涙が止まらないです………………」
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視覚情報に聴覚情報が加わったことにより
二人の関係性は
視覚情報だけで思い描いたものと
180°変わったのではないだろうか?
因みにこれは
法人営業部:解体室 での
上司と部下のありふれた日常で在る…………
聴覚情報を追加したことにより
この二人の関係性は……
恐らく多くの方々が
魚介類大好きな部下(女の子)
と
部下に新鮮な鮪の心臓を食べさせてあげる優しい上司(もう一人の人間)
と
そう思ったに違いない…………(注2)
注2:女の子の日本語力が弱い
もしくは女の子の個性的な言語の操り方等により
実際思って居ることとは
真逆の発言をして居る可能性等
哲学的な考え方に関しては
話がややこしくなるので今回は考えないものとする
当事者と第三者の心で温度差が在るのは当たり前で
得た情報などを起因とし
今回の様に真逆の感じ方となることも多いと思われる……
実際には存在して居ないハラスメント等で
無実の人間が罰せられることなど決してあってはならない……
勿論その逆も然り……
これはとても難しい問題で在り
本物の答えにたどり着くことは困難かも知れない……
しかしそれでも
こういった事を考えることは
絶対に放棄してはいけないと思って居る………………
最後に(注)で
話がややこしくなるので考えないものとした
もしかしたらこちらが実際で在る可能性がゼロでは無いかも知れない
そんなヴァージョンの会話訳を提示して
今回の〆としたい………………
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「ねえ藤子ぉ
マグハツたべる?」
「え?……
いや……」
「良いよ~
ちょっと待ってな
今えぐり出して
そっちに持ってって殺るから」
「あ…ちょ……
私何も……」
「え?
ちゃんとキャッチ出来る?……」
「え?…ちょ……
は…話を聞いて下さい……」
「行くよー?」
「えっ??
ちょっ…ちょっと
ちょっと…止めてくださいーーーっっ」
「お…
ナイスキャッチ」
「鯖戸先輩……」
「ん?」
「こ……
これ……
完全にパワハラですからね…………
わ……私…………
絶対に訴えますからね………………
私の……
私の恋人になってくれるなら……
話は別ですけど……………………」
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TO BE COMUGIKO
おまけ
刺青や返り血に関して
負のイメージを持って居る方も居るかも知れないが
それは完全に間違いであるということを知って欲しい……
もしも鯖戸先輩行に
刺青も返り血も無かったとしたら…………
コンプライアンスは保たれるで在ろうか?
よく考えてみて欲しい………………
因みに今回は
臓器(心臓)のリアルな描写も避け
♡に置き換えた……
※心臓のヴィジュアルは記号化(♡)することにより
そのグロテスティック指数が限りなくゼロに近付くといわれて居る
この気遣いに感動していただければ
幸いで在る………………………………