~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~
私はライバル会社のエントランスで…………
刺青全開の太い腕で首を掴まれ
壁に押しつけられて居た…………
さすが直参……
セキュリティ
ハンパ無い…………
私は空気に溶け込めるよう全裸で…
尚且つ
怪しまれないよう……
まるで自分が
この会社の従業員で在るかのように……
正面入り口から
堂々と侵入した………………
普通に考えれば……
これで見つかる訳が無い…………
この時の私は……
誰の目にも止まるはずのない
空気のような存在だったはずなのだから………………
………………
にもかかわらず………
私は社内に一歩足を踏み入れた瞬間……
「オイ!!
なんじゃぁわれぇ!!!」
という声と共に…
刺青全開の大男に首を掴まれ
あまつさえ
壁に押しつけられたので在る………………
目立たないよう
抜き身で所持していた
刃渡り60㎝ほどの
鉈を持って居た左手首も…
私の首を掴んで居るのと反対の手で
しっかりと
掴まれて居た…………
………………
仄かに
絶体絶命で在る…………
私は
声帯を圧迫され
かすれる声を何とか振り絞り…
「デ…デリバ………ルス……の……キャス…ト…………で…す…………」
と言った…………
大男が
「ああっ?」
と言ったその瞬間…
私の首を掴んで居た大男の左手に……
隙が生まれた………………………………
TO BE COMUGIKO
恐らく希では在るだろうが……
そういうことも在ると
思っておいたほうが良い………………