～ BARで 鯖戸 ～
｢ねえ…
バーテンダー………｣
｢はい？｣
｢今日のマティーニさぁ……｣
｢いつもよりドライに……
ですね……｣
｢……うん……
…………
この歯茎に刺さる感じ…………
たまんないな………
……
ねえ…バーテンダー…
今夜は何か和風な気分なんだけどさぁ………
純米の熱燗と
和風パスタって出来る？｣
｢丁度今出来上がったところです｣
｢ねえ…バーテンダー……｣
｢はい？｣
｢もう心読まれんの慣れちゃってさあ……
最近あんま気になんなくなっちゃったよ………｣
｢どうぞ…
純米の熱燗と和風パスタです
納豆とおかか
それに収穫したての芋葉や水菜も用い
味噌ベースで圧搾菜種油の仕様
パスタはいつもと同じで乾麺300ｇ使いました｣
｢ねえ……バーテンダー………｣
｢はい？｣
｢和と洋のボーダーラインって……
何処に在るんだと思う？
このパスタはローズマリーやアーモンドも使ってるけど
和風だと思うし
今私は涎が止まんないんだけど……
それでも私は今から…
フォークで食べようとしてる訳じゃん？……｣
｢そうですね……
それはその人その人によって
違うんじゃないでしょうか？……
ペスカトーラのリングイネを
お箸で啜るお客さんも居られますし……｣
｢やっぱり禅問答になるんだね……
哲学かな？……
結局いつもと同じ話に落ち着く安心感は
嫌いじゃ無いけどさ………
それにしてもこれ……
尋常で無く美味しいわ………｣
TO BE COMUGIKO
