~ クラスメイト ~
私のスーツケースを持ち去って居た女二人が
突然飛び出してきて
いきなり土下座した………………
土下座する女二人と同じ視界に
私のスーツケースも入って居た………………
私は
大切なスーツケースが
無事還って来たことに
安堵した………………………………………………
パパらしきオジサンは
女たちに言う……
「他人のものを盗んではいけないよ」
女二人は平謝りだ…………
「迷惑料
ひとり300万」
パパらしきオジサンが提示した金額に対して
払えない
許して欲しい
と
懇願する女たち………………
…………………………
パパらしきオジサンが
何処かへ電話をして一言二言………………
…………………………
二分もしないうちに
ピカピカにワックス掛けされた
新車のようなベンツが現れた………………
ベンツから降りてきた若い男二人は
パパらしきオジサンに
「ご苦労様です!!」
と言って
90度のおじぎ……………………
通常ご苦労様を目上の人に使うのはおかしいが……
若さ故か……
それとも職業起因か……
しかしながら
若いのに
とても礼儀正しくて
好感が持てるな……
と……
そう思った………………………………
しかし……
それを思うと同時に
私は二人の腰痛を心配した……
まだ若いからといって
無理をして居ると
将来辛い思いをすることになる……………………
ホントはすぐにそう伝えてあげたかったが……
初対面でするような会話ではないと思い
くちを開くのは止めておいた……………………
ひとりの女は
何故かその場から逃げようとしたが……
若い男のひとりに
その長い髪を掴まれ……
ベンツの後部座席に押し込まれた……
もうひとりの女は……
もうひとりの若い男に促され
自分からベンツへ乗り込んだ………………
さっきまで女が正座して居たアスファルトに
何故か水溜りが出来て居た……………………
私は一瞬
まさか雪女………………
などと妄想したが……
そんな訳無い……………………
ベンツはフルスモークだったが
ドアーが開いたままになって居たので
中を覗くと………………
女の左腕関節に浮き出た静脈に
注射針が刺し入れられたところだった………………
どうやらこの人達は……
お医者さんらしい……………………
………………………………
若い男のひとりがベンツから降りてきて
トランクの中に
大きなビニールを広げる………………
地ベタでボロ雑巾のようになり
浅い呼吸をして居た
二つの肉塊をトランクに詰めてから
パタン
と
優しく閉めた………………
やはりこの若者……
年齢に似合わぬ丁寧さ…………
さすがパパらしきオジサンの連れで在ると
感心せずには居られなかった………………
…………………………………………
パパらしきオジサンは
私と藤子に
十万ずつと名刺を渡し……
「おこづかいだよ
今日は愉しかった
また気が向いたら電話して」
そう言って
フルスモークでピカピカのベンツに乗り込んだ………………
開かれたドアーウインドウから頭をつっこんで
藤子が何やら話して居る………………
藤子の後頭部を支えるパパらしきオジサンの手……………………
袖口から見えた手首が
とてもカラフルだった…………………………………………
TO BE COMUGIKO