証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

送迎の人がくれたもの №8

~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~

 

 

今夜は斧の

 

 

峰だけを使うつもりだった……

 

 

あの姉妹の

 

痣だらけの軀を思い出す……

 

施設長にも同じような痣をつくって

 

ラムネのお礼としたかった……

 

フロントのひとが部屋から出た後

 

先ずは左足の向こう脛から打ったが……

 

どうやら力を入れ過ぎたらしく

 

骨が砕ける音と施設長の悲鳴が

 

どちらも大きくて

 

少し驚いた……

 

二回目は少し加減したが

 

やはり骨の砕ける音がした……

 

斧は峰で打つのが非常に難しく

 

力の調整など出来ないことを知り

 

三回目以降は

 

もう砕くつもりで

 

振りかぶって振り下ろすという動作を繰り返した………

 

お料理の下準備をして居るような気持ちになり

 

少し声に出して笑った……

 

 

施設長は気を失ったりせず

 

自分の軀が

 

どんどん潰れて

 

平たくなって行くのを

 

声にならない声のようなものを発しながら

 

愉しんで居るように見えた……

 

もちろん私の主観なので

 

実際に施設長がどう思って居るのかは

 

解らないが………

 

 

肉の下処理作業中

 

半年以内の自殺について何度か尋ねたが……

 

結局心拍が停止するまで……

 

もちろん心拍が停止した後もだが

 

私の求める答えは返って来なかった……

 

 

全体に平たくなった施設長を見て

 

ラムネの対価として

 

これは適切だったろうかと考えてみたが

 

あの姉妹に訊くことは出来ないので

 

きっと適切だったと……

 

そう…思うしか無かった……………

 

 

フロントに声をかけ

 

また斧を預けてから

 

外に出た………

 

 

「私が本当に愛して居るのはお前だけだ

 お前が居なくなったら私はきっと

 一年もしない間に自殺してしまうよ」

 

そう私に言った施設長は

 

もう居ない………

 

きっと

 

同じ言葉を聞かされた

 

斑模様のあの姉妹も

 

もう居ない………

 

あの時思わず私が言った

 

「何で?」

 

に対しての

 

返答は無かったが……

 

きっと彼女たちも

 

施設長を愛して居たのだろう……

 

彼女たちの死は……

 

たぶん私へのマウントだった…………

 

私達は

 

お互いに嫉妬し合って居たのだと思う…………

 

見上げた月の斑模様を見て

 

あの姉妹の斑模様のほうが

 

美しかったな

 

と……

 

そう

 

思った………………

 

 

              TO BE COMUGIKO

 

ラムネは小粒で硬いのが好き♡