『プロローグ』
君と初めて会った時
私は言葉を失った……
本当に美しい……
信じられないくらい美しい………
と
そう……
思った……………
衝動的に…
君に触れてしまった私を
君は…
拒もうとしなかった………
私は君が欲しい
と
そう…
思った……………
あのとき君はどう思った?
普段の私は
自分はそういうことにあまり興味の無い人間だと………
そう思って居たのだけれど……
その時の私は……
そうじゃなかった………
私は君が
経営戦略部の
部長のものだということは知って居た………
でも私はその衝動を…
抑えることなんて……
出来なかったんだ………
私は君の軀の
触れられる全ての部分に触れた………
冷房の効き過ぎた部屋で
君の軀は随分と冷えて居たね…………
君の軀の冷たさが
私の手に……
くちびるに……
そして首へと伝わった………
私の体温で
君の軀が温まっていくのが解った………
私は君を連れて部屋を出た……
君は何も言わず
黙って私についてきた…………
*****************************************************
「あ…酒森センパイ…
おはようございま~っス」
「あ……鋳鷹………
おはよう……………
丁度良かった……
なんかね…
経営戦略部の部長が
愛人にプレゼントしようと思ってた首飾りを
朝っぱらから盗まれたらしくて………」
「へ~……そうなんスか………
物騒な世の中っスねぇ………」
「……………
鋳鷹………
知らないよね?…………」
「ええ勿論
全然全く
露程も知らないっス」
「経営戦略部の部屋って
監視カメラ付いてるの知ってる?……」
「……………
……いや……知らないっス………」
「経営戦略部の部長が
鋳鷹に話を訊きたいって言ってるんだけど……
どうする?………」
「…………………」
「何処か……
身を寄せる所とか……在る?………」
「……………
……あ……いや………
行ってくるっスよ………
…私…何も知らないんで……
す……すぐに解放されると思うっスから…………」
「………………………」
****************************************************
『エピローグ』
「あ……
酒森センパイただいまっスぅ~♡」
「ああ……
……おかえり……………
………………………………………
…その眼鏡…
…似合ってるね…………………………」
TO BE COMUGIKO