証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の日常を描いた物語です(・∀・)♡

死に対する閾値

~ クラスメイト ~

 

 

「お前はくちを開くな私生児」

 

 

私の耳がその言葉を感知したすぐ後に

 

婆ちゃんは女を撃ち殺した……

 

耳障りな悲鳴が聞こえた……

 

私の髪をつかんで居た女の手から

 

ゆっくりと力が抜けて行き

 

右半分が

 

 

熟れ過ぎたザクロのようになった女の顔に

 

引きずられるようにして

 

下方へと滑り降りて行く………

 

現実感が全く無かった……

 

まるで白黒の活動写真でも観て居るかのようだった…………

 

婆ちゃんは優しく私を抱きしめてから

 

「お前も私生児だろうが……」

 

そう言って

 

女の死体めがけてもう一度散弾銃の引き金を引いた……

 

左側もザクロになって

 

飛び出した眼球と……

 

目が合った…………

 

 

今度はさっきみたいな悲鳴が聞こえることは無かった……

 

一回目で私の喉は

 

少なくとも今日は……

 

もう一度叫ぶことが出来ない程の

 

ダメージを受けて居た…………

 

 

婆ちゃんは女の服を脱がせて

 

耕運機から抜いたガソリンをかけて火を付けた……

 

それから裸の女の死体に

 

何度も何度も

 

 

斧を振り下ろして居た…………

 

婆ちゃんが肩で息をして居て

 

心配になって来た私は…

 

 

その作業の続きを代わった…………

 

私の母親は

 

婆ちゃんの有機栽培野菜達の

 

 

栄養になるのだ……

 

 

16年前私は

 

母親の子宮から出て来た……

 

母親と私は……

 

元々は…

 

ひとつだったのだ…………

 

近い将来……

 

私の母親は野菜になって

 

私の胃に入ることになるだろう……

 

 

これは

 

またひとつになる……

 

ということで

 

良いのだろうか?…………

 

 

私の母親は

 

婆ちゃんともひとつだった頃が在る…………

 

そして勿論婆ちゃんも

 

野菜を食べる…………

 

ふたつがひとつ?………………

 

なんだかよく解らない………………

 

………………

 

よく解らない…………

 

よく解らないのだけれど…………

 

たぶんこれで良いのだ……

 

 

なんとなく……

 

そう思った

 

夜だった………………

 

 

 

 

 

 

新たな殺人を実行する度に

 

 

あの夜のことを思い出す…………

 

あの夜の翌日

 

私は自殺と殺人

 

その両方の実行を決意した…………

 

あの夜

 

私の

 

死に対する閾値

 

自分に対しても

 

他人に対しても

 

それまでとは別次元の

 

極端な低値を示すようになったのだ………………

 

 

              TO BE COMUGIKO