証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の在りふれた日常を描いた物語です♡

わたしがBARに通う理由は・・・ 四

 

シャッターの中は

 

ナチュラルな

 

ウッドテイストのBARだった……

 

 

バックバーには

 


オールドヴィンテージのボトルが沢山並べられ……

 

 

馥郁と漂うウイスキーの香りが…

 


わたしの軀と心を………………

 

 

このBARの調度品の一部に……


変えてしまおうとして居るように思えた………

 

 

アイツは……

 

 

わたしの……

 

 

わたしの…………

 

軀を…………………………

 

 

仕事で血塗れになって居たわたしの軀を…………

 

 

………………優しく拭いてくれた………………

 

 

わたしは

 

赤の他人に……

 

軀を拭いてもたった経験など…………

 

今までに…………

 

唯の一度さえも……

 

無かった………………

 

 

アイツに優しく軀を拭かれて居ることと…………

 

このBARの存在自体にも

 

わたしの軀や……

 

精神までもが………………

 

半ば溶け出して居るような…………

 

そんな…………

 

そんな

 

奇妙な……

 

言うなれば………………

 

そう……

 

多幸感……………………

 

………………………………

 

もっと店内や

 

わたしの軀を拭いているアイツのことを………………

 

見て居たかったのに…………

 

 

視界が滲んで…………………………

 

無理だった……………………………………………………………………

 



ここまででわたしの記憶は途絶えて居る…………

わたしはどうやら……

 

眠ってしまって居たらしい……………………

 

 

 

 

炒りつけたトマトや

 

燻製系の良い香りで

 

目が覚めた……

 

 

バーカウンターの中で……

 

アイツは何かを

 

つくって居るらしかった……………

 

 

私は自分の手の小指を見た…………

 

小指の爪に

 

微量の血液が付着して居る…………

 

目覚める前……

 

わたしは夢を見て居た…………

 

夢の中で……

 

わたしは

 

アイツの背中に

 

魔除けの呪文を彫って居た………………

 

あれはどうやら……

 

夢では無かったらしい……………………………

 

「はいどーぞ」

 

 

アイツはそう言って……

 

わたしの目の前に

 

ナポリタンと

 

 

まるで血液のような……

 

深く赤黒い色の………………

 

ワインを置いた………………

 


ワインはカオールの黒ワイン……

 

今夜のわたしにとても似合うと……

 

アイツはそう言った…………

 

 

空腹だったわたしは……

 

そのことへのリアクションもせずに……

 

「いただきま~す」

 

 

 

そう言ってから

 

すぐにそれらを

 

くちに運ぶ……………………

 

何という香り……

 

なんという味わい…………

 

こんなに美味しいナポリタンと

 

ワインとのマリアージュを……

 

わたしは……

 

知らない…………………………

 

ナポリタンのコク出しに

 

カオールワインの澱を用いたのだと

 

アイツは言った…………

 

 

アイツは

 

わたしがナポリタンを食べ終わるのと同時に

 

 

カクテルもサーヴィスしてくれて

 

 

そのカクテルを呑み終わる前に

 

 

次のカクテル……

 

 

続けざまに

 

 

また別のカクテルと

 

ピッツァも焼いてくれた……

 

 

わたしは

 

何度も何度も……

 

 

おかわりをねだった………………

 

 

本当に本当に

 

どの料理も

 

どのカクテルも美味しくて

 

 

わたしは

 

何度も何度も……

 

そのことをくちにだして

 

伝えた…………

 

 

名前を知らないので……

 

わたしはアイツのことを……

 

とりあえず

 

バーテンダー

 

と……

 

そう

 

呼ぶことにした…………………………

 

 

バーテンダーとの会話は……

 

料理やカクテルと同じくらいに

 

愉しかった…………

 

いや……

 

相乗効果で

 

その両方が高められて居るのかも知れなかった…………

 

勿論少し

 

酔っては居たけれど

 

わたしは覚醒して居た

 

特別なことはない

 

極々普通の会話をして居るのだという

 

認識は

 

しっかりと持って居た…………

 

その認識を……

 

本当にしっかりと……

 

持った上で…

 

それでも

 

わたしのこころは

 

何故か和んで居るのだった……………………

 

 

………………………………

 

目を覚ましたときから……

 

ずっと気になって居たことが……

 

ふたつ在る………………

 

 

ひとつは

 

手首と足首がヒリヒリとして……

 

軀にも

 

ところどころ……

 

擦り傷や……

 

痛みが在るということ………………

 

 

何処かでころんだっけな?

 

 

何故か

 

椅子がベタベタに濡れて居たのも気になったが…………

 

それよりも何よりも……

 

もうひとつの……

 

気になって居たこと………………

 

店内の至る所に居る

 

地縛霊的なヤツ達……………………

 

 

わたしは

 

カクテルを呑みながら…………

 

アイツにも怨霊にも

 

気付かれないように気を使いつつ………………

 

バーカウンターの裏に

 

長めの呪文を彫った………………………………

 



 

あれ以来

 

わたしはほぼ毎夜……

 

このBARに通って居る……

 

何故か毎夜新しい怨霊が増えて居るし……

 

バーカウンターの裏に彫った呪文も

 

薄くなって居たり…………

 

時には消えかけて居たり……………………

 

……………………………………

 

わたしは

 

カクテルや料理をいただきながら……

 

バーカウンターの裏に彫った呪文を

 

毎回なぞるように……

 

彫りなおして居る……………………

 

 

……………………………………………

 

因みに……

 

もう完全に

 

機会を逃してしまったらしく…………

 

未だにアイツの名前は…………

 

訊けて居ない……………………………………………………

 

 

         TO BE COMUGIKO

 

 

ねえねえバーテンダー……
今夜は何をたべさせてくれるの?



バーテンダーからの視点では👇

 

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