解体処理作業中の……
血塗れで
柳刃包丁を持った女と……
目が逢った……………………
顔がやや紅潮し……
肩と胸の動きから
呼吸の荒さを
感じ取ることが出来た………………
女からの……
強く……
深い殺意が………………
まるで冷たい液体が
カクテルグラスの三角形を
一直線に
底へ向かって流れるような…………
そんな……
速い速度で私の胸に伝わった…………………………
遂にこのときが来た
と
私は思った…………
女の目を見ながら……
私はゆっくりと
決して焦らぬよう自制しつつ……
間合いを詰めた…………………………
目を逸らしたら…………
逆に殺られる
………………
そう……
思った………………………………
間合いを詰めたそのままの速度で……
一切の無駄な動きを省き……
女の髪を
掴むと同時に軀を転換させて
女の顔を
処理物の内臓に押しつけながら……
いつもと同じように……
女の片足を
持ち上げた………………………………
…………………………………………………
…………………………………………………
だが……
このときの私には……
もう……
解って居た…………………………
この女は……
今夜もなにも拒まず……
全てを受け入れ……
反撃もしない…………………………
恐らく
殺意に満ち満ちたその眼差しと……
女の軀や精神は…………………
リンクして居ないのだ…………………………
………………………………
私はこの女を殺害することを……………………
この夜…………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
完全に……
諦めた…………………………………………
夏が終わるまで
アルバイトと雇い主という関係を……
つづけていこうと思った…………………………
極々普通に
極々当たり前に……
毎晩何度かの朝礼をシて……
その他ハラスメントも行い…………
暴力にも
決して手を抜かない…………
殺害するという前提なくして
何処まで殺れるか………………
しかし私は決めたのだ………………
夏が終わるまでの間
この女との
関係をつづけると………………………………
……………………………………
エレガントな……
羽黒蜻蛉が姿を消して……
大衆的な…………
シオカラトンボ全盛となった…………
そろそろ
文学的な……
赤とんぼが姿を現わす頃だ……………………
夏の終わりは
もうすぐそこまで近付いて居る…………
この女との関係が終わるときも……
もうすぐそこまで近付いて居る…………
…………………………
そんなことを考えながら
私が毎夜
執拗に蹴りつづけ……
すっかりどす黒く変色してしまった女の内股肉………
そして……
服に隠れた全ての部位を…………
今夜も変わらず
強く蹴って居る私が居た……………………………………………………………………
TO BE COMUGIKO
お客として来るのは自由っスよねぇ？
