~ 追憶 バーテンダー ~

理科室を出た帰り道……
私は
美術教師の頬骨に筆の柄を突き立てたとき親を呼ばれたり…
こっちに非は無いのに謝らせられたりして
けっこう大変だったことを思い出して居た……………
今回はもっと面倒な事になるかも知れないと……
そう思った………………
夜にでも誰かが来るかも知れないとも思って居たが
それは無く
いつもどうり親に千円渡されて
「暫く外に出てろ」
と言われ
行くところも無いので階段を降りたところで座って居るだけという
普段と変わらぬ夜を過ごした………………………………
………………………………………………………
翌日
学校をサボりたかつたが………
私の住んで居るアパートでは
注射器や服などが散らばった部屋で…………
親が知らない男と抱き合いながら騒がしくして居るので居られない……………
どこかで時間を潰せないかと考えたが……
やはり私に行くところなど無く
時間を潰す方法といえば
やはり絵を描くことくらいしか思い浮かばない………………
とりあえず諦めて
制服に着替えてから表へ出て歩き出した………………………
……………………………………………
気付いたときにはもう校門を通過し
下駄箱で上履きに履き替えたところだった……………………
このときの私は
もうどうでもいいや
という心境に至って居た……………………………
……………………………
少し遅刻して教室に入ったが
他の生徒も先生も
私には全く興味がないらしかった…………………
いつ呼び出しがあるのかと思いながら
一限目の途中から二限目三限目と過ぎて行き……
次は四限目となった……………………
早退したかった……………………
でもアパートには帰れない…………………………
ぐだぐだと考えて居たらチャイムが鳴った……………………………
チャイムが鳴ると同時に女が教室に入って来て
何事も無かったかのように授業が進められる………
女の表情は暗かったがそれはいつものことだった………
この女は美しい
美しいが明るさは無く
いつも言葉少なげに淡々と授業を進める…………
その美しい見た目のため
男子人気は高かったが……………
女子人気は最悪で……………
白衣の下の短いスカートをいつもディスられて居た…………………
気の強い女子は
そのことを直接………………
面と向かって言ったりもして居たが………………………
その華奢な体型と反比例するかのように
女の心は太かった………………………
勿論私の頭には………
授業など全く入って来はしなかった………
チャイムが鳴るまでの間
私は女から目を離すことが出来なかったが
女は私と目を合わせることを
意図的に避けて居るらしかった………………………
異常に長く感じた四限目が終わり………
女が教室から出て行ったので……
やっと私の視線は解放されたと思った………………………
しかしその矢先…
また女が教室に入ってきて
今度は私と目を合わせ…
顎で廊下に出ろと言う……………………
仕方なく廊下に出ると
こちらに向かって歩いてきた女が………
すれ違いざまに……
「理科室に来なさい」
と
そう言った…………………………
………………………………………
ああいったことは女が事件にしないことも多いという……
いわゆる泣き寝入りというやつだ…………
だから私はあの女も
もしかしたら無かったことにしてくれるのではないか…………
と
今日………
学校での過ごす時間が増すほどに……
その淡い期待を膨らませて居た………………
トイレを済ませてから理科室へと向かった…………
足取りは最悪に重かったが……
理科室までの体感距離は尋常で無く短かった………………………
理科室の前で私の心拍数はかなり高くなって居たが……
初めてこの理科室を訪れたあの日とは違う種類のそれだということは………
明白だった……………………
理科室の引き戸を開ける………
あの日の女は私に歩み寄り…
私の手を握った……………
今日は女の姿が無い……………………
奥の小部屋…………
いつも私が絵を描いて居る小部屋……………
昨日私が女を………………………………………………………………
………………………………………………
大きく息を吐いてから腹をくくって小部屋に入った……
小部屋に入った瞬間私の目に飛び込んできたのは…………
美しい蛇の絵と美しい女の死体だった……………………………………………………

TO BE COMUGIKO


でも………
ショートパスタとはいえ…
ちょっぴり不安…………………………………




私は清潔で柔らかい布巾を手に取った…………………