「どうぞ
紅茶です」
「あの……」
「はい?」
「この……
この…カップは?………」
「そのカップが
どうかなさいましたか?」
「いえ…………
あ………………」
「…………」
「あの………」
「はい?」
「この紅茶のレシープって……
訊いても……
良いですか?…………」
「バーテンダーさんのオリジナルですか?」
「考案したのは友人です」
「…………
どんな…………
どんな方……ですか…………」
「今…
藤子がイメージしてるひとだよ……」
「………………」
「………………」
「壁に………
絵が……
沢山掛かって居ますね………」
「半分以上友人の作品です」
「あ……
そのニードル………」
「このアイスピックが
どうかなさいましたか?」
「あの……
これ………」
「同じものですね」
「これは……
よく在るものですか?…………」
「友人がデザインしたアイスピックなので
この世に二本しか在りません」
「ご友人は…………
ご友人は……
今……どちらに?…………」
「解らないんだ……」
「いえ…………
そう……ですよね………………
ん………」
あの美術教師に逢いたいという感情は
あの日から今まで
そしてきっとこれからも……
変わらないと思う…………
けれど今
私の中に……
寂しいとか
悲しいとか…………
それらに類似した感情は
存在して居ない…………
それは美術教師の代わりになるものが在るからという訳では無く…………
今この瞬間では
これが最高で……
他の存在に価値を求める隙間など無い程満たされて居るからだと………
そう表現すれば………
その答えに
近づけるだろうか………………
「ハァ…
あの………」
「はい?」
「紅茶………
もう一杯いただけますか?………」
「丁度今
淹れたところです」
TO BE COMUGIKO