~ クラスメイト ~
暫く運転して居ると……
後部座席から話し声が聞こえてきた………
どうやら女が目を覚ましたらしい……
聞き耳を立てると
女は自分がヤクザの組長の娘だと言って居り……
自分を今すぐ解放すれば
藤子と私を殺さないよう
親で在る組長にお願いしてくれるらしい……………
………………
小学生でもつかなさそうな幼稚な嘘に……
私は思わず…
吹き出してしまった………………
「もうちょっとマシな嘘つきなよ……
おまえは小学生か?」
後部座席の女に向けて
そう言ってから
藤子に
「罰として指一本」
と
伝えた……
すぐに後部座席から
大きな叫び声が聞こえた…………
「はい♡」
藤子がそう言って
後部座席から手を伸ばす……
元々は白くて美しい……
だけど
今日は真っ赤に染まった
藤子の手……
運転中だったので
藤子の手だけチラッと見て
すぐに視線を前に向け
私はソレを
感覚で受け取った………………
…………………………
信号で止まったとき
藤子から受け取ったものを
目視確認した……
その確認は
私の手の感覚と
イメージ力には
何の問題も無いということの確認にもなった……………………
そうだ……
私は藤子に……
『どうするか』
を
言わなかった…………
……………………
普段何気なく使って居る日本語だが……
実際は
とても難しいものなのだ
と
認識させられた出来事だった…………………………
私は
罰として……
指一本折って殺って
と
そう伝えたつもりだったのだけど……………………………………
歩行者側の信号機が
点滅を始めた……………………
気持ち悪かったので
急いでドアーウインドウを開けて
藤子から受け取ったソレを
外に投げた………………………………
信号が変わり
アクセルを踏む……………………
さっきからずっと
女がゼーゼーハーハーと鬱陶しい……………………
どうやら
過換気症候群らしい……
思春期にはよくあることなので問題は無いが
五月蠅いので
偶々助手席足下で丸まって居た
コンビニか何かの袋を
後部座席に投げ
しかし女は何故か拒否…………
仕方が無いので
藤子に
「その女
五月蠅いから
ちょっと黙らせて」
と
そう伝えた………………
あ……
と
すぐに思い……
ルームミラーで後部座席を確認すると……
案の定……
無表情の藤子が
女の首に
その細長い指を絡めて居る……………………
私は
「殺したらダメだよ
後で拷問して遊ぶんだから
今は気絶させるだけでいい……」
と
急いで付け加えた……………………
日本語というのは………
本当に難しい…………………………………………………………………………
TO BE COMUGIKO