「あ 酒森
お前受け付け嬢のメンヘ……あ…と………
……東雲坂田鮫と仲良いよな?」
「いえ……
そういった事実は在りませんが………」
「いや……
そんなはず無いだろ?
こないだ二人で話してるの見たぞ?……」
「主任……
もしもそれが仲の良いことを裏付ける指標と成り得るので在れば……
主任と私も仲が良いということに成ってしまいますよ?……」
「酒森…
回りくどい言い方をしてすまなかった…
単刀直入に言うよ
メンヘラがまだ出勤して居ない…
電話も繋がらない……
嫌な予感がするから
見に行って来てくれ」
「イヤです……」
「業務命令だ」
「……解りました…………」
主任は車を貸してくれると言ったが……
私は運転免許を持って居ないので
電車にて東雲坂田鮫さんのアパートへ向かうことにした……
主任の描いてくれた地図は思いの外解り易く
駅から降りて
一度だけ通行人に方角を確認した以外は
自力でたどり着くことが出来た………
現場で呼吸を整え
インターフォンを鳴らしたが……
反応は無く
一抹の不安が過った………
ドアーには鍵がかかって居たので
「鍵がかかって居たらコレを使え」
そう言って主任に渡されて居たバールを振り下ろした……
「東雲坂田鮫さ~ん………
居ませんか~~?…………」
返事は無いが
人の気配と
東雲坂田鮫さんの匂いがする………
と
その時薄暗い部屋の中で
東雲坂田鮫さんと目が合った………
「あ……
東雲坂田鮫さんおはよう………」
東雲坂田鮫さんは生きて居た………
ただ……
今日は手だけで無く………
脚も縛られて居たので…………
どうやって出勤したら良いか……
考えて居たところ……………
そんな感じだろうか?………
私は……
東雲坂田鮫さんの脚に巻かれた
包帯だけ解いて……
ここまで来た道のりを
同じルートで帰った………
会社に着くと
私よりも早く会社にたどり着いて居た
東雲坂田鮫さんが受付で迎えてくれた………
東雲坂田鮫さんはマイカー通勤なので
電車の私よりも早く会社に着いたのだ………
東雲坂田鮫さんは何故か無言だった……
どうやら
後ろだろうが前だろうが……
今現在縛られて居るという事実に於いて
それは
東雲坂田鮫さんにとって等価で在り
縛られて居る時に出来ることと出来ないことというのは……
明確に区別され
決して揺るぎの無いもので在る様だった………
TO BE COMUGIKO