~ クラスメイト ~
女の両脛からは
白い骨が
顔を覗かせて居た…
ピーラーを置き
今度は柳刃包丁で女の皮を剥ぎ取って行く……………
柳刃包丁の初体験は
右足の脹ら脛…………
女が嘔吐した瞬間
藤子はそれまでより
多くのシャッターを切った…
藤子は女に
「今の良かったよ
君はやればできるんだから
もっともっと良い表情ちょうだい」
と
完全にカメラマン・モードで
撮影に対する姿勢は
とても真剣だった………
この時女は新しい言葉を発した…
どうやらやっと
自分がもう
生きて帰宅することが出来ないということを
悟ったらしかった………
舌を噛んで自殺されると
ゲームが終わってしまうので
それが実行出来ないよう
女の足下でドロドロになって居たタオルを
もう一度
女のくちに
詰めなおした……
柳刃包丁で
女の皮を剥いで行く作業は難しく
なかなか思うように進まなかったが……
下半身の皮を剥ぎ終わったあたりから
やっとコツが掴めて来て
柳刃包丁の切れ味に頼るよりも
むしろ皮を引っ張ってテンションを掛けながら
筋肉から引き剥がして行く…
柳刃包丁は
補助的に使ったほうが
旨く行くということを
知った…………
私としては
このまま女の皮を剥ぎ続け
最終的には
理科室の人体模型みたいにしたかったのだが……
しかし途中から
女が無反応になり……
頬をひつこく打っても
目を覚まさなくなってしまった………
「モデルがそんな殺る気の無い態度とってたら
良い写真なんか撮れないよ!!」
と言って藤子が怒り出したので
ちょっと休憩することにした………
女の頸動脈に触れると………
まだ…脈は在る………
私は
軽トラにいつも積んで在るカセットコンロで湯を沸かし
ドリップコーヒーを三杯淹れた…
藤子は
「おいしい」
と
言ってくれた……………
女に近付いて
「コーヒー飲む?」
って訊いたら
女はうっすらと
目を開けた……
もう一度
「コーヒー飲む?」
と訊いたが無反応だったので
少し談笑して居たら……
そういえば私は女に話しかけたり
発言に反応したりすることを止めたんだったと思い出した……
痛恨のミスである…………
自分で決めたことを忘れて
女に話しかけてしまったことに
軽い自己嫌悪を覚えた……
…………
私は柳刃包丁で
女の両耳を削ぎ落とした
…………
コーヒーを飲み終えた後
作業及び撮影を再開した…………
しかし作業開始後すぐに
私はまたミスを犯してしまった…………
女の首の皮を剥ぐときに
誤って頸動脈に傷を付けてしまい
血が止まらなくなってしまったのだ………
……………………………………………
人体模型のレプリカが完成する前に
ゲームオーヴァーになってしまった………………
………………………………………
カメラマンに
「ごめん……」
と謝ると
「頸動脈から噴水のように噴き出す赤色が
とても美しく撮れて居るはずなので
全く問題無い」
と言って笑ってくれた…
人体模型のレプリカになりきれなかった女の肉塊は
斧で
ある程度細かくしてから
藤子と一緒に掘った穴に放り込んで
上から雑草と
米糠をたっぷりまぶし
土をかけて
埋めておいた…………
半年から一年も経てば
女はとても上質な
有機肥料として生まれ変わる………
私達は
「今日は地球にとっても
良いことをしたね」
と
そう言って笑いあった…………
女にとっても
非常に良いことをしてあげたと思った………………
藤子のお腹がぐぅ~~っと鳴ったので
「シャワー浴びたら
ごはん食べに行こっか」
と言ったら
予測はして居たが
藤子は
噴水で真っ赤に染まった顔で
「ペスカトーレ♡」
と返事した………………
藤子の軀にぬるめのシャワーをあてた…………
紅く色付いたお湯が
排水溝の中へと
吸い込まれて行く………………
今日も藤子がオーダーするペスカトーレが
出来るだけ視界に入らないよう注意しながら
ボンゴレ……
勿論ロッソでは無く…………
ボンゴレ・ビアンコでも食べようと……
そう
思って居た………………
TO BE COMUGIKO
ねえどうして?
どうしてロッソにしないの?