このBARで……
わたしが与えられた仕事は…
気温が高くなるのと比例して
迅速さが必要となるものだった…………
私は…
あのひとのことを…
心底
恐ろしく思って居るが……………
それなのに…
あのひとの
仕事の教え方は
何時も丁寧で………
そして…
優しく………
あまつさえ…
わたしへの…
気遣いを
感じさせるものだった………………
刃物を扱う仕事なので…
自分の手や軀を傷つけないように
注意することが必要だという
教えに始まり……………
解体後は
土中埋没処理を基本として居るが………
量が多い場合や
急ぐときは燃やすので…
「その際は火傷にも充分注意するように」
…とか………
……燃やす為の補助剤としては
枯れ木や枯れ草を用いるのを推奨して居るが…………
天候等の影響で
どうしても
燃えの悪い場合は…
「可燃性の液体を用いても構わない」
しかし……
処理物に
ガソリンをかけて点火しようとすると……
揮発性ガスに引火して
爆発することが多く……
十中八九
大火傷を負ってしまうので
どうしても可燃性の液体を用いるという場合には…
ほぼ爆発の心配が無く…
火の背も数㎝しか上がらない
灯油を用いるのが良いということ…
更には
処理物からは…
「決して何も奪ってはならない」
ということ…
その理由が…
量刑にあるということ…………
これは万が一……
億が一の…………
事態を想定した
リスクマネジメント…………………
もし処理物から
一円でも奪って居た場合……
その量刑は…
無期か死刑
その
どちらかしか用意されて居ない
……という…………
法律のことまで……………
あのひとは…
私が本当に理解するまで
根気よく……
懇切丁寧に…………
……………………
教えてくれた……………………………
今も相変わらず……
出勤直後の
朝礼行為は続いて居り……………
むしろ…
内容はエスカレートして居る為…………
軀は常に痛く…………
服の下は…
打撲痕や縛り痕……
擦過傷や擦過創だらけだったが………
それでも……
それでもあのひとの…………
表情や声は……
いつも優しく…………………
朝礼行為の後は…
わたしの髪を……
毎回優しく整えてくれるし…………
いつも美味しい賄いを……
たべさせてくれて………………………
でもまた……
仕事中に……………
朝礼の…
続きみたいなことを………
されて……………………
それなのにまた……
優しくされて…………………………
そのせいで……
わたしの頭の中は……………
常に混乱して居る感じ………………
昨夜は
朝礼行為の後
椅子に縛り付けられて
密室に放置された……
意識が朦朧として…
たぶんこれは熱中症……………
そう
思ったとき……
あのひとは
バケツで頭から水をかけてくれた……………
また優しさを感じさせられて…………
でもまた椅子ごと蹴り倒された……………
頭が混乱する………
ずっと頭が混乱して居る……………
でも…
でも…それなのに………
それなのに………
退勤までには……
いつも………………
私の心は幸せで………………………
暖かく…………………
満ち足りた気持ちになって居る……………………………………
だからわたしはあのひとに…………………
何をされても……………………
どんなことをされても………………………………………
結局次のバイト日には………………
…………………………………………
普段どおり…………
……………………
遅刻もせずに…………
……………………
出勤してしまうのだ……………………………………
TO BE COMUGIKO
おまけ