証券会社で働いて居ます

証券会社で働くOL達の在りふれた日常を描いた物語です♡

雇い主に八つ当たりで無茶苦茶された日

~ Bella giardino ~

 

 

 

空港でするとき、バーテンダーさんは大体いつも同じようにする。

 

とても急いだ雰囲気で……、

 

何回も何回も、何も言わずに中に出す。

 

終わった後でわたしから目隠しをはずし、

 

頭を撫でてくれるのは、

 

普段と何も変らないのだけれど、

 

それでもあまり目は合わせてくれず……、

 

何だか少し、

 

悲しそうな顔をする……。

 

私はよけい、なにも訊けなくなる。

 

 

何気なく、車の窓越しに外を見る。

 

少し離れた場所、

 

駐車場の一番隅に大きなワンボックス。

 

車体が随分と揺れている。

 

わたしはすぐに、

 

そうかな?

 

と、

 

思ったのだけれど、

 

暫しそのまま見続ける……。

 

やっぱり揺れは、収まらない。

 

「ねえ、バーテンダーさん」

 

「なんだい?」

 

「あそこに駐まってる車を見に行って来てもいい?」

 

バーテンダーさんがワンボックスに目を遣って、

 

「……ああ、行っておいで。見つからないようにね」

 

 

他の人達がどんなふうにしているのかが、

 

わたしはとても気になる。

 

深い興味があって、

 

どうしても知りたいと思う。

 

バーテンダーさんが他の女としているところはよく見るし、

 

特に棕櫚さんとしているところを見ながら吞むカクテルは最高だ。

 

慣れた愉しさとでも表現すれば伝わるだろうか?

 

けれども私には、慣れた愉しさだけでは足りないのだ。

 

それを満たしてくれるのが、知らない人同士のそれ。

 

そこには色んな意味での愉しさがあって、

 

そこにあるかもしれない新しい発見はもちろんそれだし、

 

それは自分にも真似できることかも知れないし……、

 

わたしと同じことを好む人を見つけたときは、

 

覚える共感もまた愉しさで、

 

なんというか……、

 

知らない人同士のそれ、

 

というのは兎に角どう転んでも愉しいのだ。

 

その中でも、特にわたしが愉しいと思うのが、

 

個人個人の持つ特別な趣味、

 

というか……、

 

そういうことに対する癖、

 

というか……、

 

わたしはそういうものに、

 

一番興味をそそられる。

 

「こういうのって、変な趣味ですか?」

 

わたしは気になって、

 

今でも時々バーテンダーさんに訊くことがあるのだけれど、

 

バーテンダーさんはその度に、

 

「そんなことはないよ、何も変じゃない。

 好みというものは人それぞれで、

 他人がとやかく言うものじゃないんだ。

 藤子が愉しいと思うことは全てが正解なんだよ」

 

と、

 

そう言ってくれる。

 

 

ワンボックスにそっと近づき、

 

右側後方のドアウィンドウから中を覗く。

 

両手で水中メガネの形をつくり、

 

なるべく隙間の無いよう密着させると、

 

スモークフィルムが貼ってあっても中が見える。

 

少し見にくいといえば見にくいのだけれど、

 

わたしはとても視力が良く、

 

夜目も利くので、もどかしさを感じるほどではない。

 

女が二人と男が二人。

 

一組は丁度最中で、

 

この二人が今ワンボックスを揺らしている。

 

笑う男の顔と、

 

泣く女の顔が、はっきりと見える。

 

女の化粧が随分と崩れていて、

 

見ためにあまりよろしくないのが残念だ。

 

もう一人の女……、

 

いや、

 

女の子はとても可愛らしい。

 

とても整った顔立ちで細身。

 

エストのラインが美しく、

 

いかり肩。

 

バーテンダーさんが見たら、放っておかないだろう。

 

実際にそうなのか、

 

そう見えるだけなのかは解らないけれど、

 

随分と若そうに見える。

 

両腕に描かれたトライバル模様がとても似合っており、

 

わたしにとっても好みのタイプだ。

 

因みにわたしは身体に模様のある人が好きだ。

 

バーテンダーさんも棕櫚さんも、全身に模様がある。

 

わたしは未だデコルテと肩、

 

あとは背中だけなのだけど、

 

少しずつ増やして将来的には

 

バーテンダーさんや棕櫚さんみたいにしたいと思っている。

 

早く良い彫り師を見つけたいのだけど、

 

なかなか見つからないのが今の悩み。

 

女の子が下着をゆっくりと脱ぎだした。

 

相手の男の顔を見る。

 

全然カッコよくない……。

 

この女の子には相応しくない。

 

こんなにヴィジュアルが良いのに、男を見る目が無いのかな……。

 

わたしは音を立てないよう、

 

且つ素早くバーテンダーさんの元へ戻る。

 

バーテンダーさんの悲しそうな顔が笑顔に戻るかも知れなくて、

 

わたしにとっても、あの女の子にとっても、

 

とても愉しいに違いないことを思いついた.............................................................

 

 

 

 

 

         TO BE COMUGIKO

 

 

 

 

 

「オイ朔乃ちょと来い………………………………」

 

 

「え?………ちょっ………………いっ…いきなり何ですか?……………………」

 

 

「朝からかなり時間かけて描いてた生地が飛んだんだよ…………………

 だからおとなしくしてろ………………………………」

 

そんなんわたしのせいとちゃいますやん……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

ホントは今朝
僕がこの賄いをもらえるまでの経緯が
朔乃さんのガーデン作業も絡めて公開されるはずだったんだけど………………
なんか知んないけど
描きあがり公開寸前で全部飛んだんです…………………
明日はもっかい描き直して
ちゃんと公開される予定…………(´;ω;`)